ギロチンマシン中村奈々子

ギロチンマシン中村奈々子―義務教育編 (徳間デュアル文庫)

ギロチンマシン中村奈々子―義務教育編 (徳間デュアル文庫)

ギロチンマシン中村奈々子・義務教育編

こちらも前述の「狂乱家族日記番外そのいち」と同じ作者の、日日日先生による徳間デュアル文庫の新シリーズだそうで。
こちらは、いわゆる前後編?ですかね。この「義務教育編」と、次巻である「学級崩壊編」とに別れるっぽいです。巻末にそのように書いてありました。そこからさらに続くのかどうかは現状ではわかりませんが。
舞台はロボットと人間が戦争をしている世界。そこで主人公は、ロボットが人間らしさや人間の感情を学ぶ為の場所である『学園』に潜入して、そこの支配者である「チェシャ・キャット」を破壊しようと行動します。
だが、そこには学園の秩序を護る存在の「執行人」と呼ばれるロボットもいて、両手が機械の腕の執行人、『中村奈々子』が主人公の前に障害として立ちます。さらに、チェシャ・キャットは執行人の前にしか姿を表さないという…。
が、中村奈々子は主人公が自分と同じ顔をしている事や、主人公の正体が密かに奈々子が尊敬している『人間』である事により処刑せずに去っていき、さらにそれだけでなく、深夜に主人公の部屋に忍び込んでくる。奈々子の目的は?主人公は、チェシャ・キャットを暗殺できるのか…?と言った感じで。
こう書いているとかなり重い話+妙なラブコメっぽいです。
しかしそこはそれ、日日日先生ですので会話が妙に軽快です。凄い毒舌で軽口を叩き合ったりしていたりします。なので、舞台設定の割にいわゆる日常シーンなどはかなりギャグっぽくなっていてその分で重いばかりではなくなっています。とはいえ、根底と言うかストーリーのキモは「人間とロボットの違いは何か?」と言う感があり、安易に結論が出せないものを扱っています。けっこう考えさせられるモノです。
総評して、軽快なテンポで会話が進みながらもシリアスなシーンしかり、アイデンティティに関する文があったりと、なかなか人の定義を考えさせられる物になっています。しかしながら、まだとりあえずの終結すらしていなく、続きが気になるところで終わっていますので、それが我慢できない人は続刊の「学級崩壊編」が出るまでは購入を見送るべきかも?といった所ですかね。