黎明の戦女神4

黎明の戦女神(アテナ)〈4〉 (電撃文庫)

黎明の戦女神(アテナ)〈4〉 (電撃文庫)

黎明の戦女神4

前回の第3巻の時にもチラッと書きましたが、シリーズ完結巻。
『氷雪の軍団』率いる伊達晶に一度は負けた藤沢梓率いる『繚乱の軍団』。だが、周囲の武将との連携を駆使した戦術で梓は伊達晶を幸運も手伝い倒す事に成功する。なんとか落ち着きだす関東から東北地方。だがそれもつかの間。昌樹の正体がついにばれて仲間たちから怒りの目を向けられる中、いよいよ『天命の軍団』との決戦の気風が上がりだす。同じ混世魔で、昌樹と同様に人の世界を崩壊させた事を後悔している朏百合に連れられて伊達晶を頼った昌樹は梓から一時離れ、『繚乱の軍団』は昌樹不在で混世魔を多く有する『天命の軍団』との決戦に挑む。だが、『天命の軍団』は明倉景に反旗を翻した混世魔3人が率いていた。この決戦はどうなるのか―――、といったところ。
今巻では合戦バトルは『天命の軍団』との決戦で、超常バトルは昌樹と3巻で出てきた混世魔、百合との即席タッグと天命の軍団所属混世魔の3人との乱戦でした。
合戦バトルの決戦は、天命の軍団側の暴走から端を発しなし崩しに始まる一大決戦。飯久高剛、学文字竜胆など最前線武将たちが、天命の軍団の武将たちと戦うシーンなど見所多いです。相変わらず軍事用語とか多いですが(笑
超常バトルでは、昌樹と百合の2人の強力な混世魔がタッグを組み、混世魔の世界を作ろうとする天命の軍団の武将混世魔と戦います。時限や時間を駆使する超常バトルは、人間レベルの視点である合戦模様と対比されてよりいっそうのカタルシス
そして最後は、混世魔たちを御し切れなかった責任を取るかのように出陣してきた明倉景と藤沢梓とが川上で一騎打ち。槍の妙技を見せる梓と、それに立ち向かう形の景…最後らしく、絵にすると一枚の絵画とはよくいったもので清廉な戦いと言った趣です。
ですが、中途で終わったと言うか、ここから混世魔の王、相模と昌樹との意思の激突や、梓に理解を示した景と梓との交流など、まだまだ見所になりそうな部位を多く残しつつ『氷雪の軍団』に身を寄せていた昌樹を梓が迎えに言って完結。
総評すると、軍事関連の描写が多く敷居は高いながらも、メインキャラクターがリアルで、その生き様をもっと見ていたいと思えてくる物でした。軍事描写などを苦に感じない、戦記物をよく読んでいる人なら簡単に読めるんじゃないでしょうか。逆にテンポよく読みたい人など、軽く流し読みするには向かないと言う感じです。
まだ先があるだろうに、ここで終了と言う事でそう行ったものを最後まで見られないのが少し残念です。