伊佐と雪〜やさしいよる〜

伊佐と雪〜やさしいよる〜

未熟な修験者の袴田幸太郎を主人公に、幽霊の伊佐、雪男の雪、鳥の変化?のヒメ、古狸の玄太郎の5人が繰り広げる、短編連作形式妖怪奇憚といったところでしょうか。
基本は袴田と伊佐、玄太郎が何某かの怪異に関わり、それに口は悪いが最後には手を貸す雪や、女性を着飾るを好むらしいヒメが好みの女性がいる時に手助けをしたりといった感じで、この巻にはそう言った形式で全部で3作入っていました。
1番目が袴田と伊佐と雪、ヒメ、玄太郎の出会い。2番目で袴田と玄太郎が打ち解ける様子を書きつつ放火魔相手に伊佐の特性を書き。3作目では伊佐と雪の過去の知り合いと関わる袴田、といった感じでしょうか。
この巻では、かなり広めの風呂敷の一端を垣間見れると言う程度でしか読み取れません。伊佐と雪の面倒を見ていると言う朱門とかが名前だけ出てくるとかしてますので、その辺り今後の伏線ですかね。登場人物というか物語り励起としての。他にもヒメの出番はかなり少なく、本当に少しだけのお助けキャラといった感じですし、3番目で出てくる伊佐と雪の過去の知り合いであるイブキの過去を垣間見る袴田なども、今後に関しての伏線としか思えませんでしたので。これを書いている2006年11月22日現在、既に2巻目である続刊「伊佐と雪 ~いとけしゆうぐれ~ (GA文庫)」も発売されているようなので、そちらを読めばこういった伏線っぽいところは少しは解決されているのかなー、と。そう思っている次第です。
総評して、全体のほんの少しだけが見れる巻と言うか、今後に続く刊行の為の予備知識取得編というか。それぞれの能力、立ち位置、性格、物語構成の基本といったところを見れる巻と言う感じで。「袴田幸太郎の事件禄 初歩編」みたいな印象でしたね。